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六代目蔵元 佐藤淳平 私の履歴書

新たな一歩の始まり(楯野川新聞 2013年12月12日号より)

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いつもありがとうございます。楯の川酒造六代目蔵元の佐藤淳平です。さて、今回から話をお酒関係に戻します。

契約栽培の開始に伴い規格外米がでてくることや、夏場の仕事として、粕取り焼酎の製造を開始したことは以前お話ししましたが、その経緯をもう少し詳しくお話します。
弊社の酒米「美山錦」・「出羽燦々」を作って頂いている契約農家さんとは、毎年お盆前に、圃場視察や情報交換会を開催しているのですが、その都度、昔と違って今は米価も下がり、なかなか農業で食べていくのは厳しい状況になってきているという話をよくお聞きします。
勿論、弊社の酒米を作っていただいている農家さんは専業で農業を行っていらっしゃいますので、これからも大丈夫だと思いますが、一般的に農業がどんどん厳しくなってきているといった趣旨のお話だと思います。

このような農業を取り巻く環境の厳しさを契約農家さんご自身から聞くにつれ、弊社でも、何かしら山形県の農家さんのお手伝いができないのだろうか、という思いが少しづつ芽生えてきました。

そういった思いの中で、契約栽培で出てくる規格外の米を麹米にし、日本酒醸造で産出される副産物(酒粕・米粉)を主原料にして、焼酎を作れば良いのではないだろうかという考えが生まれました。

規格外の米や酒粕を有効活用することで、契約農家さんの収入アップにもつながり、蔵としても、夏場の閑散期の仕事になる、という結論に至ったわけです。

これまであまり日本酒以外の事業を積極的に行ってこなかった楯の川酒造ですが、農家さん支援にもつながる焼酎製造を開始することにいたしました。

今思うと、日本酒一本で来た蔵が、新しい道を歩みだす小さな一歩となった焼酎製造でした。

六代目蔵元 佐藤淳平