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六代目蔵元 佐藤淳平 私の履歴書

楯野川ブランド立上げ その1(楯野川新聞 2013年1月10日号より)

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平成13年10月、蔵に戻ったときの石数は150石(1800ml換算で15000本)くらいでした。当時、山形県内に蔵元が58社ほどありましたが、おそらく一番少ない製造数量の蔵ではなかったかと思います。日本酒や業界のことなど何も知らずに蔵に戻ってきましたが、今にも潰れそうな会社を頑張って再生させたいという思いだけで、自分が酒蔵をやって、うまくいく保証はどこにもありませんでした。会計の知識や日本酒業界の置かれている状況などがわかっていれば、かなり厳しい現実が実感できたのでしょうが、知らなかったことがかえって良かったのかもしれません。売上の10倍近くの借入がありましたのでどうにかしてそれを返しつつ、石数を何とか500石までにはもっていきたい、そして、いつかは2000石や5000石規模の蔵になってみたいというのが当時の思いでした。

1年目の酒造りは、タンク20本のみの仕込みで非常に少なく、始まったかと思えば、2月中旬であっという間に終わってしまいました。地元産の美山錦と出羽燦々で、山形酵母を使用した純米と純米吟醸は内容的には普通酒レベルのお酒でしたが、ありがたいことに多くの酒販店様や周りの方の応援を受け、新しいブランドとして全国に出荷することになりました。創業当時の表記に戻して、新しく生まれ変わった「楯野川」がやっと1歩を踏み出した1年目でした。

六代目蔵元 佐藤淳平