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六代目蔵元 佐藤淳平 私の履歴書

子宝「大吟醸梅酒」 高品質ゆえの苦悩(楯野川新聞 2014年10月10日号より)

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前回は、ヨーグルトリキュールの開発経緯をお伝えいたしました。今回は、ヨーグルトと並ぶ弊社の代表的なリキュール「子宝 大吟醸梅酒」の話をしたいと思います。

リキュールを商品化した2007年当初から、弊社ではリキュールのベースには、日本酒を使用しておりませんでした。その理由は、日本酒とリキュールのコンセプトが全く違っていること、そしてもう一つは、日本酒をベースにすると日本酒が老ねて(ひねて)、果物やヨーグルトなどのフレーバーを邪魔してしまうと判断したからです。当時の市場には、清酒ベースや純米酒ベースを謳っている梅酒やリキュールが数多くありましたが、そのような理由から、弊社では日本酒ベースのものは製造しておりませんでした。

ただ、「日本酒ベースで、しかも大吟醸を使用した梅酒はどんな風になるんだろう?」そんなちょっとした疑問があり、小さなタンク1本だけ大吟醸をベースにした梅酒を仕込むこととなりました。

使用する大吟醸は、当時通常販売していた山田錦や出羽燦々を使用した大吟醸または純米大吟醸で、ビン詰めされて大切に冷蔵庫に保管していたものを惜しげもなく使用しました。

しかし、商品化した価格は、1800mlで6000円(税別)。清酒や純米酒を使用した日本酒の酒蔵が造る梅酒といっても、そんな高価なものは当時の市場になく、1800mlで3000円くらいが相場でした。大吟醸をベースに使用したことで原価も高くなり、そんな大吟醸と同等の高額な梅酒は、正直ほとんど売れませんでした。少々やりすぎた感じはありました。味や香り、そして繊細さはいいのになあ…。

そんな梅酒ですが、梅酒コンテストに出品したことで、その運命が大きく変わります。

※写真は子宝 大吟醸梅酒 及び 大吟醸梅酒にごりです。味、香り、品質は確かなものでしたが、価格の高さから、発売当初は苦戦を強いられました。

六代目蔵元 佐藤淳平