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六代目蔵元 佐藤淳平 私の履歴書

「子宝」と「楯野川」(楯野川新聞 2015年4月10日号より)

 いつも楯野川新聞をご覧いただき、誠にありがとうございます。

さて、弊社では2007年より、地元山形の果実やヨーグルトを使用したリキュール「子宝」の製造・販売に注力してきました。その出荷数量は、2010年に日本酒を超えるまでになり、2012年には日本酒の2倍の石数にまで増加しました。
私自身、これほどにリキュールが伸びるとも考えておりませんでしたが、酒販店様や飲食店様の要望に応えるべく、安定した供給体制を整える為の設備投資を行い、弊社のブランドの柱となるよう取り組んでおりました。
リキュールの好調とは裏腹に、心の中ではあまり嬉しくもなく、逆に上手く新事業が軌道に乗ったことが怖いくらいで、全く浮かれてはおりませんでした。そして、「本業の日本酒も、何とか強力なブランドに育てていきたい」という思いを抱きながら、悶々とした日々を過ごしておりました。近隣の蔵元さんからは「リキュール屋になっちゃったね、楯の川さん」なんてことを言われ、悔しい思いを味わったりもしました。
ご存じの通り、山形県内には地酒の超有力ブランドがひしめいております。そのような激戦区の中で、「楯野川」をもっと存在感のあるブランドにするにはどうしたらいいか、そして次の世代や孫の世代が、胸を張って蔵を継げるようにするにはどうしていくべきか、頭を悩ませておりました。

六代目蔵元 佐藤淳平